WP#75 - データセンターとオフィスにおけるサーバのエネルギー効率

07 November, 2017 | White Paper

編集者:
Jay Dietrich, IBM

寄稿者:
Jeff Doolittle, HPE
Gary Verdun, Dell
Shahid Sheikh, Intel
David Reiner, AMD
Henry Wong, Individual Member


この技術論文は、コンピュータサーバのエネルギー効率に関心のある官民のステークホルダーが読者対象です。本ホワイトペーパーの目的は、過去10年ほどの間にサーバ製品やデータセンターシステムに起こったテクノロジーの進歩やイノベーションのため、初期のENERGY STAR®アプローチ、すなわちアイドル電力を使ってサーバのエネルギー効率を評価する方法が、もはや実際的ではなくなっているという事実を示すことです。アイドル電力を厳しく制限すると、市場に出回っている高性能サーバの利用が制限されるため、データセンターのエネルギー使用量がかえって増加するという、意図しない結果を招くことが予測されます。これは、ENERGY STARなどの自主的なプログラムでも、EUエネルギー関連製品(ErP)指令などの強制的なプログラムでも同様です。本ペーパーでは、Server Efficiency Rating Tool(SERT™)に基づくサーバのアクティブ効率メトリックが、現実のオペレーションにおけるサーバエネルギー効率を評価し、データセンターおよびオフィス環境における最適なエネルギー効率と最低のエネルギー使用量を実現するための効果的な方法であることを説明します。

アイドル電力の重要性が低下した背景には、いくつかの要因が相乗的に作用しています。2007年から2011年にかけて、データセンターのエネルギー消費量に注目が集まり、ENERGY STARが「コンピュータサーバに関するプログラム要件」バージョン1を発行した時期に、サーバメーカー各社は、アイドル電力を低減するために積極的な対策を講じました。その時期以来、あらゆる種類の電力低減機能が活用され、サーバのアイドル電力がほぼ横ばいの状態を続けています。それと時期を同じくして、サーバのパフォーマンスも大幅に向上しました。一例として、ソフトウェア開発各社がサーバの仮想化機能を著しく強化してパフォーマンスの向上に努め、1台のサーバで10以上の仮想サーバを実行できるようになりました。その結果、サーバ全体のフットプリントが小さくなっています。すべてのIT機器(サーバ、ストレージ、ネットワーク)の機能が強化されたことで、データセンター市場は、旧式のクローゼット/エンタープライズモデル(個々のアプリケーションをそれぞれ専用のハードウェアで実行)から、高生産性/高利用率データセンターモデル(高度に仮想化されたエンタープライズ環境とパブリック/プライベートクラウドコンピューティング環境の組み合わせ)へと進化を遂げています。

本ペーパーでは、実際の使用シナリオをいくつか提示しながら、今日のデータセンターワークロードをどのように管理し最適化するかについて、具体的に説明します。どのような環境(オフィス、企業データセンター、クラウドデータセンター)にサーバを導入する場合にも、サーバはそれぞれ特定のワークロードまたは
ワークロード集合を処理するようにサイジングされているという認識を踏まえ、導入電力手法を用いて、サーバのエネルギー効率を表す手段としてのアイドル電力、およびアクティブ効率(重み付き 幾何平均アクティブ効率またはアクティブ効率メトリック)メトリックの有効性をそれぞれ評価することができます。導入電力手法は、集約的に評価されたSERTパフォーマンスおよび電力データを使用して、ターゲットとなる大規模なワークロードの処理に必要なサーバ台数、およびそのサーバ集合によるデータセンター電力使用量を算定します。アイドルテストに合格したサーバと、アクティブ効率テストに合格したサーバとの間で、導入電力およびアクティブ効率を比較してみると、サーバのエネルギー効率を規制するためのポリシーツールとしてのアイドル電力の使用は、高性能サーバが不当に市場から排除される結果を招くことが明らかになります。これらの高電力・高性能サーバが市場から締め出されると、アクティブ効率メトリックを使用する場合よりも、データセンターのエネルギー消費量が、30%以上高くなる可能性があります(図12)。さらに、サーバのアイドル電力のトレンドは横ばいか、やや悪化することが予測されるため、アイドル電力を厳しく制限すると、結果として高性能サーバの数が減少してしまい、データセンターのエネルギー消費量を最小化する機会が失われます。グリーン・グリッドは、今後のデータセンター市場のトレンドや、年ごとのサーバパフォーマンスの向上トレンドを含む確実なデータに基づいて、サーバのアイドル電力アプローチを脱却し、SERTをベースとする重み付き幾何平均のアクティブ効率メトリックに移行することを強く推奨します。グリーン・グリッドは、ステークホルダーおよび支持者のコミュニティと建設的な協力関係を築くことを期待しています。